盆提灯の扱い方・種類

盆提灯の生産地

盆提灯の生産地

盆提灯の生産地としては、岐阜県の岐阜周辺の岐阜提灯と、福岡県の八女周辺の八女提灯が昔から有名です。
どちらの産地も経済産業大臣指定伝統的工芸品の指定を受けています。

岐阜提灯

岐阜提灯の歴史

岐阜提灯は、18世紀の中頃に、岐阜で作られたのが始まりとされ、近くに原材料の和紙、竹が豊富にあったことから発展しました。
19世紀前半には、現在のような特徴を備えた提灯が、かなり普及したといわれています。お盆用に広く使用されています。

岐阜提灯の特徴

形が清楚で、細工が精巧で、火袋には優雅で秀麗な彩色絵が施されています。
骨になる竹ひごは細く、紙は極めて薄く、花鳥、風景、人物等の絵が描かれています。
形は球形か卵型をしています。

岐阜提灯の作り方

まず提灯の張り型を組立て、型に刻んである溝に沿って螺旋状に竹ひごを巻きます。
次に竹ひごで作られた骨に糊を付け、和紙または絹を貼り、要らない部分を切り落とします。
刷り込みまたは描き絵によって絵付けをし、提灯が乾燥したら型を抜き取り、上下の輪を組み込んだ後、付属品を取り付けて完成します。

岐阜提灯の製造工程

岐阜提灯の製造工程は大きく分けて和紙(または絹)の加飾、火袋の製作、木地の加工、仕上げの四つです。
和紙(または絹)の加飾は、型紙を用いて絵を「摺り込み」してから張り上げる場合と無地の紙(または絹)を張り付けた後に絵を手描きする「絵付け」の二通りがあります。
岐阜提灯では、和紙の加飾、つまり絵紙の製作は「摺込師」、火袋の製作は「張師」、絵付けは「絵師」、また、木地つくり(口輪、行灯の台など)は「木地師」、塗り加工は「塗り師」、蒔絵付けは「蒔絵師」などとそれぞれの専門によって分業されています。

八女提灯

八女提灯の歴史

19世紀初めに場提灯という素朴で簡単な絵を描いたものが作られたのが、八女提灯の始まりとされています。
19世紀半ばに意匠を工夫して、提灯に一大革命をもたらしました。
19世紀末には、地元で生産される工業製品の中で、提灯が主要な地位を占めるようになりました。

八女提灯の特徴

八女提灯は竹骨を一条螺旋式に改め、厚紙を薄紙の八女手漉き紙に変え、内部が透視できるようにして、山水、草木、花鳥などの彩色画描写をしたため、涼み提灯として名声を博しました。
八女の土壌で育成された技術、技法を取り入れた昔ながらの素朴な提灯と近代的な盆提灯が作られており、風雅な情緒味に富んだ提灯として全国一の生産量を誇り、製品は広く、全国、海外へ出荷されています。

八女提灯の作り方

提灯の張り型を組立て、張り型に刻んである溝に沿って螺旋状に竹ひごを巻きます。
次に竹ひごに糊を付け、地紙(絹)を貼り、紙(絹)の重なった部分を切り落とします。
提灯が乾燥したら張り型を抜き、火袋に筆で山水や草木、花鳥などを手描きします。
漆を塗り、蒔絵を施した上下の輪や足に火袋をはめ込んだ後、付属品を取り付けて完成します。

八女提灯の製造工程

八女提灯の製造工程は、火袋の製作、絵付け、木地づくり、漆の塗り、蒔絵の製作、仕上げ、の6つに大きく分かれ、それぞれがひとつの業種として独立しています。
手板や加輪など木製の部品、火袋、房、金具はそれぞれ平行して製作されます。
完成したそれぞれのパーツは、製作全体の流れを管理する提灯屋に集められ、製品に仕上げられます。