お盆の迎え火・送り火はいつ行う?やり方から意味までわかりやすく紹介

  • 公開日2009.04.17
  • 更新日2025.07.23

お迎え火と送り火は、お盆にご先祖様の霊をお迎えしたりお送りしたりする役割を持つ伝統行事です。ご先祖様の霊が迷わずに帰れるように、また安心してあの世へお帰りできるようにという意味を込めた大切な儀式なので、正しい知識を持って臨むことが大切です。

今回は、東京浅草にある滝田商店が迎え火と送り火の意味ややり方を解説していきます。

迎え火・送り火とは?

迎え火・送り火イメージ

ご先祖様の霊をお迎えするのが迎え火、再びあの世へお送りするのが送り火です。

ここでは、迎え火・送り火の意味についてみていきましょう。

迎え火・送り火を行う意味

迎え火はご先祖様の霊が迷わずに帰ってくるときの目印になり、送り火は私たちがしっかりと見送っているという証になります。

迎え火・送り火は家の門口や玄関、庭先などで行われることがほとんどですが、お墓で行う地域も少なくありません。

迎え火・送り火の習わしは地域で異なる

お盆という伝統行事自体が地域性の強い祖霊信仰にもとづいているため、迎え火・送り火の習わしも地域によって大きく異なります。

例えば、京都の「大文字焼き」や長崎の「精霊流し」は、ご先祖様の霊を送り出す送り火の意味を持っています。

他にも海や川、山で火を焚くなど、さまざまな形態で迎え火・送り火は行われています。お盆の儀式は、基本的なやり方を理解しつつ、地域性やご家族のしきたりにしたがって行うことが大切です。

迎え火・送り火のやり方

迎え火・送り火のやり方は、宗派や地域の風習によって異なります。

ここでは、基本的な迎え火・送り火のやり方とポイントをみていきましょう。

迎え火は7月13日(8月13日)、送り火は7月16日(8月16日)に行うのが一般的です。

13日の夕方、家の門口や玄関、庭先などで焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿の上でオガラを折って積み重ね、燃やして先祖の霊を迎えます。お墓で行う場合は、お墓参りをしたあとにお迎え用の提灯に明かりを灯して、その明かりと一緒にご先祖様の霊を家まで導いて帰ります。

16日の夕方には再び同じ場所で、焙烙にオガラを折って積み重ね、火をつけて燃やし、送り火としてご先祖様の霊を送り出します。

迎え火・送り火イメージ

マンションなどの共同住宅の場合、玄関先やベランダで実際に火を焚くことは難しいものです。その場合は盆提灯が迎え火・送り火の役割となります。ご先祖様の霊は、盆提灯の明かりを目印にして家に帰ってくるともいわれています。

迎え火・送り火で使用するオガラは、古くから清浄な植物として考えられてきた「麻」の皮をはいだあとに残る芯の部分です。ご先祖様の霊は、オガラを燃やした煙に乗って家に帰ってくるともいわれています。またオガラを使用することには、清浄な植物で悪いものを祓い清め、燃やすことで清浄な空間を作り出すという意味が込められています。

焙烙(ほうろく)は仏壇店で、オガラはスーパーや花屋さんで購入できるので、事前に準備をしておきましょう。

浄土真宗の迎え火・送り火

浄土真宗は、宗派の教えとして「故人はすべて極楽浄土に往生している」と考えます。ご先祖様が現世に帰ってくるという考え方がないので、迎え火や送り火は行いません。

ご先祖様の霊をお迎えする慣習はありませんが、お盆の間は盆提灯を飾って、仏様とご先祖様に報恩感謝をささげます。

なお、浄土真宗を除く在来仏教の宗派と神道では、迎え火・送り火を行うのが一般的です。ただし、地域や宗派によって考え方が異なる場合もあるので、不安な場合は菩提寺に訊ねておきましょう。

新盆(初盆)を迎えるときの迎え火・送り火

四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆を「新盆」または「初盆」といいます。

故人の霊が初めて帰ってくる新盆のときは、新盆用の白提灯を忘れずに飾ります。新盆用の白提灯は、玄関や部屋の窓際、仏壇の前などに吊るします。

白提灯はローソクの火を灯せるようになっていますが、危ないので火を入れないで、ただお飾りするだけで迎え火とする場合も多いです。最近は安全のために盆提灯用のローソク電池灯もあります。

お盆が終わったら、新盆用の白提灯は処分します。以前はお寺でお焚き上げをしたり送り火で一緒に燃やしたりしていましたが、最近では可燃ごみとして処分することも多くなっています。

FAQ:迎え火・送り火に関するよくある質問

最後に、迎え火・送り火に関するよくある質問にお答えします。

迎え火・送り火を忘れたときはどうする?
迎え火・送り火を忘れてしまったときは、1日遅れでも構わないので気づいた時点で行いましょう。

迎え火・送り火を忘れたからといって、バチが当たったり不吉なことが起きたりすることはありません。大切なのはご先祖様を供養する気持ちなので、可能な範囲で対処してください。
迎え火・送り火を行う正しい時間は?
送り火や迎え火は、何時に行っても構いません。夕方以降に行うことが一般的ですが、時間が確保できないときは日中に実施してもよいでしょう。

夕方に迎え火や送り火を行うのは、「霊が動き始めるのが暗くなってから」だと考えられているためです。また、お盆の行事を行う流れから、実施する時間が夕方になってしまうという理由もあります。

迎え火・送り火は大切なお盆の伝統行事

現世へ帰ってくるご先祖様を導く迎え火・送り火は、お盆の始まりと終わりの区切りとなる伝統行事です。どのような意味を持つ行為なのかを理解できれば、より気持ちを込めて迎え火・送り火を灯せるようになるでしょう。

故人との繋がりを意識し、家族が一堂に会するお盆は、ご先祖様への敬意と家族の絆を強める大切な行事です。ぜひ迎え火や送り火を実施して、ご先祖様や家族と向き合う時間にしてみてくださいね。

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